臨床検査科
臨床検査科は、臨床検査技師6名、検査助手1名の合計7名で検査業務を行っています。 24時間365日、時間外や救急診療に備え待機体制をとり、夜間、休日であっても適切な診断、治療ができるよう支援しています。また、平日は2名の臨床検査技師が早番体制をとっています。一人は外来採血業務を、もう一人は入院患者さんの検体検査を行い、迅速な検査結果報告を実践しています。血算は20分以内、生化学、感染症、腫瘍マーカー、ホルモン等は60分以内を目指して報告しています。
生理機能検査では、心電図、呼吸機能検査、動脈硬化検査、超音波検査等を行っており、患者さんの待ち時間20分以内を目指して検査しています。
2022・2023年度 品質保証施設認証制度取得について
臨床検査科では、2022年5月まで一般社団法人日本臨床衛生検査技師会から「標準化され、かつ、精度が十分保証されていると評価できる施設」として制度保証施設認証を受けていました。
2022年6月からは、医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律第57号)の趣意に基づき、品質保証施設認証制度という新たな制度が創設され、当医療センターにおいても新制度の認証を受けるため、申請を行っています。
品質保証とは、検体の採取から検査結果報告までの一連の流れが保たれていることを示します。これらの一貫性を保つために、日本臨床衛生検査技師会主催の事業に参加し、また標準作業書、作業日誌および台帳等の整備をすることで、信頼性の高い検査値を報告できるように日々努めています。
認定・資格取得一覧
- 二級臨床検査士:循環生理1名、微生物1名
- 緊急検査士:2名
- 細胞検査士:1名
- 認定臨床微生物検査技師:1名
- 感染制御認定臨床微生物検査技師:1名
- 認定心電検査技師:1名
- 心電図検定1級:2名
- NST専門療法士:1名
- 日本臨床神経生理学会認定技師 術中脳脊髄モニタリング分野(IOM):1名
- 遺伝子分析科学認定士初級:1名
- 医療安全管理者(日本病院会):1名
- 精度管理責任者育成講習会修了:2名
- 医療技術部門管理資格認定:1名
- 毒物劇物取扱責任者:1名
検査室紹介
採血|検体検査室
採血室は、臨床検査科内にあり午前8時から行っています。 外来採血人数は一日平均 80人から110人(令和4年度)程度で、ブドウ糖負荷試験、糖尿病指導(SMBG、FreeStyleリブレ)、出血時間、検査前説明もここで行っています。
導入機器
採血室
採血管準備装置
BC ROBO888
採血を受けられる外来患者さんへ3つのお願い
- 採血・採尿受付にて外来基本票を出して受付してください。(採血番号を発行いたします。)
- 採血前に採血取間違い防止のため、患者さんご自身に名前を名のっていただいております。
- 採血後の止血:5分程度の圧迫止血が必要です。血が固まらないようなお薬、血がサラサラになるお薬を服用されている方は長めの圧迫止血が必要になります。
注意点
止血困難・皮下出血
不十分な止血が原因です。十分な圧迫止血を行ってください。
アレルギー
消毒用アルコール、手袋ラテックス等で発疹、発赤が出現することがあります。以前に発疹、発赤が出現した方は採血前にお知らせください。
各検査機器|検体検査室
全自動尿分析装置 尿中有形成分分析装置
ア-クレイAX-4061(写真右)
東洋紡USCANNER(E)(写真左)
測定項目
尿定性
pH 、比重 、色調、 混濁、 蛋白 、糖、 ケトン体、 ウロビリノーゲン 、ビリルビン 、潜血反応、 白血球、 亜硝酸塩 、尿沈渣、 白血球、 赤血球、 尿路上皮、 尿細管上皮、 細菌、 赤血球形態 等
尿定性試験とは糖、蛋白、ビリルビン、ケトン、潜血、白血球等を調べ、尿沈渣は尿中に含まれる細胞等を顕微鏡で観察する方法を言います。 尿検査の結果からは、腎臓の機能、膀胱癌などを知ることができます。
多項目自動血球分析装置
シスメックス XN-1000
測定項目
- 赤血球
- ヘモグロビン濃度
- ヘマトクリット値
- 白血球(好中球、リンパ球、単球、好酸球、 好塩基球 )
- 血小板
- 網状赤血球
各血球を測定することで、貧血、白血病、出血傾向などの血液疾患や炎症の状態がわかります。
血液凝固自動分析測定装置
SEKISUI CP 3000
測定項目
- PT(プロトロンビン時間)
- APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
- D‐ダイマー(フィブリン分解物)
- FDP(フィブリン・フィブリノゲン分解産物)
- AT‐Ⅲ(アンチトロンビンⅢ)
※PT:経口抗凝固薬(ワーファリン)療法のコントロールとして測定しています。
肝機能低下(主に肝硬変)の指標として測定しています。
※PT APTT:術前検査として測定しています。
臨床化学分析装置/免疫自動分析装置(連結機)
Roche Cobas8000(ISE,c702,c502,e602)
測定項目数
約60項目ある生化学検査は、体液(血液、尿、腹水、胸水など)を使って行う検査です。体液中に含まれる蛋白、糖、電解質、酵素などを調べれば各臓器の状態がある程度把握できます。免疫検査は、感染症(梅毒、HBs抗原、HCV抗体、HIV抗原抗体、SARS-CoV-2抗原、SARS-CoV-2抗体)、甲状腺(TSH、FT3、FT4)、ホルモン(C-ペプチド、IL-6)、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9、AFP、PIVKA-Ⅱ、PSA、F-PSA)、心筋マーカー(NT-ProBNP、高感度トロポニンT)について調べています。
遺伝子解析装置
島津製作所 Auto Amp
測定項目
- SARS-CoV-2RNA(RT-PCR法)
全自動血液ガス分析装置
SIEMENS RAPIDPoint 500
測定項目
- pH
- CO₂
- O₂
- HC0₃⁻
- BE
- Na K Cl Ca
- Lac 等
主に呼吸状態を調べるため、動脈血を採取して、酸素、二酸化炭素、pHなどを測定します。
その他、検査項目
- 便潜血反応、溶連菌、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、RSウイルス、マイコプラズマ抗原、妊娠反応、アンモニア、便中ヘリコバクターピロリ抗原、水痘・帯状疱疹ウイルス抗原、尿中肺炎球菌莢膜抗原、尿中レジオネラ抗原、ヒトメタニューモウイルス、CD抗原・CDトキシン、SARS-CoV-2抗原定性
- 腹水・胸水・髄液一般検査
- 関節液検査
- グラム染色
- 骨髄穿刺
- 寄生虫検査
- 細胞診検査、病理検査、一般培養検査、抗酸菌検査は、外注検査としています。
輸血
輸血検査装置
オーソ Auto Vue
測定項目
- ABO式血液型 Rh式血液型
- 不規則抗体スクリーニング
- 交差適合試験
- 直接クームス試験
- 間接クームス試験
血液製剤の一元管理
血液製剤の安全な使用を目的とし、輸血検査と血液製剤の発注から保管、管理まで輸血に係る一連の業務を2014年から臨床検査科で行うようになりました。当医療センターでは輸血管理料Ⅱ、輸血適正使用加算を算定しています。
超音波検査|生理検査
超音波検査装置
キャノンメディカル Aplio500
GEヘルスケア・ジャパン LOGIQ S8
- 超音波は人体に無害で、痛みはほとんどありません
- 結果は、担当医から説明があります
※予約検査ですので、突然の事情でお越しできない時、あるいは交通事情などで遅れる場合は、病院までお早めにご連絡ください。
腹部超音波検査
上・下部腹部超音波検査は、肝臓、胆道系、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、子宮、前立腺、大動脈、消化管などの観察を目的として行っています。検査は約20~30分程度で終了します。消化管、膵臓の観察のため、お水をコップ1杯飲んでいただくことがあります。
その他に、頸動脈、甲状腺、下肢動脈、下肢静脈、乳腺、皮下腫瘤、透析シャントの超音波検査も行っています。
一般生理|生理検査
心電計
標準12誘導
日本光電 cardiofaxG ECG2550 2台
標準12誘導心電図は、心臓のリズムや胸の痛み、動悸などの診断のために行う検査です。また、手術を受ける前や健康診断でも行われています。
24時間ホルター心電図
日本光電 RAC-5203
ホルター心電図は24時間心臓のリズム、虚血による電気的変化をみるために行う検査です。また、アブレーション後の治療(判定、評価)も行っています。
肺機能測定装置
チェスト DISCOM-21 FXⅢ
肺年齢、呼吸器疾患の有無や治療効果の判定、手術前の肺機能の評価等を行う検査です。
血圧脈波検査装置
OMRON form BP-203RPEⅢ
足首と上腕の血圧をはかり動脈硬化や血管年齢の評価を行う検査です。
終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を調べる検査です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸が止まる、または浅く・弱くなり、それによって日常生活にさまざまな障害を引き起こす疾患です。
当医療センターでは、簡易検査と精密検査を行うことができます。
簡易検査装置
PHILIPS Alice Night One
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を調べるための簡易検査になります。
検査機器を貸し出しますので、自宅で検査していただきます。
精密検査装置:PHILIPS Alice PDx
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査では精密な検査方法になります。
睡眠の状態を調べるために脳波、眼球運動、呼吸状態、心電図、血液中の酸素等さまざまな生体信号を測定するためにセンサーを装着し検査します。
一泊の検査入院となります。
神経生理|生理検査
神経系の電気生理学的検査
筋電図・誘発電位検査装置
日本光電 Neurpak X1 MEB2300シリーズ
※予約検査ですので、お越しできない時、あるいは遅れる場合は、病院までお早めにご連絡ください。
筋電図検査:針筋電図、誘発筋電図
大脳誘発電位検査:体性感覚誘発電位
手や足などの神経を電気刺激して、神経の伝わり方に異常がないか、伝わる速さが遅くなっていないか等を調べる検査です。
検査時間は、検査する神経の数によって異なります。
神経機能検査装置
日本光電 Neuromaster G1 MEE-2000
術中モニタリング:Br-MsEP SSEP
頚椎、胸椎の手術時に術中モニタリングとして検査を行います。
委員会活動
- 臨床検査適正化委員会
- 輸血療法委員会
- 院内感染対策委員会(ICC)
- 臨床栄養委員会
- 褥瘡対策委員会
- 医療安全管理委員会
- 医療安全管理部会
- 衛生委員会
- システム委員会
- 患者サービス向上委員会
チーム医療
- 糖尿病患者指導:SMBGの指導や針、チップ、使用機器の管理まで一貫して行っています。
- 栄養サポートチーム(NST):臨床検査科で抽出したデータリストをもとにミーティングや病棟ラウンドを行っています。
- 感染対策部会(ICT):毎月の細菌検出状況の報告やアンチバイオグラムの作成など院内の感染対策に役立つデータを提供し、ともに活動しています。